こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
保安基準には、ロービームの取り付けに関して規定があります。しかし、保安基準は非常にわかりにくい言葉を用いた文章と同じよう内容が何回も記載されており、読んでいて意味が分からなくなる人も多いでしょう。
カスタムする上では、ロービームの取り付けに関する保安基準(198条第7項)の把握は必須となりますので、わかりやすく解説したいと思います。
目次
内藤
というのも、たまに純正と異なるデザインのヘッドライトを取付けた車を見かけ、保安基準に適合しているのかと気になっています。
島田
内藤
島田
ロービームの取り付けに関する保安基準は、198条第7項に記載されています。そこには、皆さんが普段乗るクルマやバイクのほか、道路工事や農作業で使用する特殊車両までの法令が細かく書かれています。
198条7項では、ロービームの取り付け位置のほかに、取り付け個数や照明部についても細かく規定があることが書かれ、別添94に記載がある測定方法で取り付けられていなければならないとあります。
別添94に記載される測定方法では、実測する場合についての細かい基準が記載されています。その内容は、測定するクルマには運転手1名(55kg)のみ乗車し、オイル、冷却水、潤滑油を規定量搭載し、自動車メーカーが定める工具やスペアタイヤを搭載した状態で測定するよう定めています。
内藤
島田
内藤
島田
だから法令上は3眼でもロービームは左右1灯ずつなんだ。
内藤
島田
一 すれ違い用前照灯の数は、2個であること。ただし、二輪自動車、側車付二輪自動 車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、最高速度 20km/h 未満の自動車並びに幅 0.8 m以下の自動車にあっては、1個又は2個であること。
7項1号では、ロービームの数は2個必要と記載されています。ただし、二輪車や側車付き二輪車つまり、オートバイやサイドカー、そしてトライクと呼ばれる3輪自動車は、ロービームは1個または2個でもよいとしています。
ただし、ロービームの数は上記でも解説した通り、灯具の中に光源が2個以上あっても別添94に準じた取り付けであれば1個とみなすので、最近流行りの3眼以上のLEDヘッドライトも左右で2個のロービームとなります。
二 二輪自動車、側車付二輪自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車以外の自 動車に備えるすれ違い用前照灯は、その照明部の上縁の高さが地上 1.2 m以下(大型 特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車(最高速度 20km/h 未満の自動車にあっては、 小型特殊自動車)及び除雪、土木作業その他特別な用途に使用される自動車で地方運 輸局長の指定するものに備えるすれ違い用前照灯でその自動車の構造上地上 1.2 m以 4/8 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2009.10.24】〈第三節〉第 198 条(前照灯等) 下に取り付けることができないものにあっては、取り付けることができる最低の高 さ)、下縁の高さが地上 0.5 m以上(大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車(最 高速度 20km/h 未満の自動車にあっては、小型特殊自動車)及び除雪、土木作業その 他特別な用途に使用される自動車で地方運輸局長の指定するものに備えるすれ違い用 前照灯でその自動車の構造上地上 0.5 m以上に取り付けることができないものにあっ ては、取り付けることができる最高の高さ)となるように取り付けられていること。
バイクやサイドカー、スキー場などで見かけるキャタピラやソリを備えた軽自動車を除くクルマのロービームの取り付け位置について解説しています。これは一般的なクルマのことなので、取り付け位置についてはこの2号がほとんどの人に当てはまるはずです。
ここでは、照射部の上縁が地上から1.2m以下、下縁の高さが地上から0.5m以上の高さに取り付けるようにしなさいとあります。しかし、車体の構造上1.2m以下で取り付けが困難な場合は、取り付けられる最低の高さ、また0.5m以上の高さで取り付けられない場合は最高の高さで取り付けるよう規定されています。
もう少し、わかりやすくすると、ヘッドライトのレンズの一番上の部分が地上から1.2m以内の高さで、レンズの下側は地上から0.5m以上の高さが必要という事です。
三 二輪自動車、側車付二輪自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車に備える すれ違い用前照灯は、その照明部の中心が地上 1.2 m以下となるように取り付けられ ていること。
バイク、サイドカー、トライク、そしてソリやキャタピラを装着した軽自動車のロービームの高さについて記載されています。取付けの高さは、ロービームのレンズ中心が地上から1.2m以下となるよう取り付けなさいとあります。
四 すれ違い用前照灯は、その照明部の最外縁が自動車の最外側から 400mm 以内(大 型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車及び除雪、土木作業その他特別な用途に使 用される自動車で地方運輸局長の指定するものに備えるすれ違い用前照灯でその自動 車の構造上自動車の最外側から 400mm 以内に取り付けることができないものにあっ ては、取り付けることができる最外側の位置)となるように取り付けられていること。 ただし、二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、最高 速度 20km/h 未満の自動車並びに幅 0.8m 以下の自動車に備えるすれ違い用前照灯に あっては、この限りでない。
ロービームのレンズ部分の左右の取り付け具合について記載されています。
ロービームを取り付ける場合、照明部の最外縁(外側の端)がクルマの一番外側から400mm以内に取り付けるようにと定められています。
ただし、特別な用途に使用される自動車で地方運輸局長の指定する自動車の場合、クルマの構造上400mm以内に取り付け困難な場合は、取り付けられる一番外側の位置で取り付けられるとしています。
つまり、一般的な自家用車の場合は、クルマの一番外側から内側に400mm以内に取り付けることと決まっています。
クルマの最外側は、ドアミラーは含まれず一般的にフロントフェンダーの一番外側を基準に、ロービームレンズの外側を測ります。
五 前面が左右対称である自動車に備えるすれ違い用前照灯は、車両中心面に対し対称 の位置に取り付けられていること。ただし、すれ違い用前照灯の側方に走行用前照灯 を備える二輪自動車にあっては、走行用前照灯及びすれ違い用前照灯の中心が車両中 心面に対して対称の位置にあればよい。
左右対称のデザインのクルマにロービームを取り付ける場合は、車両の中心から左右対称になるよう取り付けなさいと記載されています。デザインが左右対称ではないクルマを探す方が大変ですが、法令では様々な状況を想定するため、このような規定も盛り込まれていると思われます。
またバイクの場合は、ロービームとハイビームが1灯ずつ取り付けられていることがありますが、その場合はロービームの中心とハイビームの中心が左右対称になるよう取り付けられていればよいとされています。
六 すれ違い用前照灯の操作装置は、運転者がすれ違い用前照灯の点灯操作を行った場 合に、全ての走行用前照灯を消灯する構造であること。
ロービームの点灯操作をしたときに、ハイビームは消灯しなければならないとあります。これは当たり前のことですが、ヘッドライトの故障などでロービーム点灯の操作をしてもハイビームが消えないこともあり得るため、様々な状況を想定しての法令といえるでしょう。
そのため、ロービームの切り替えができない、つまりハイビームしか点灯しないクルマは保安基準に適合しないという事です。
七 放電灯光源を備えるすれ違い用前照灯は、走行用前照灯が点灯している場合に消灯 できない構造であること。
7項7号に記載されている、放電光源とはHIDヘッドライトのことです。HIDをロービームに使用している場合、ハイビームに切り替えてもロービームは消灯できない構造でなければならないとしています。
これは、HIDが点灯してから最大光量になるまで時間がかかることが理由の一つでしょう。というのも、ハイビームを使用して走行中に対向車が来た場合、ロービームに切り替えますが、その時にHIDでロービームが消える構造では、切り替えた瞬間に光量が足りずに夜間の安全走行を数秒でも確保できない恐れがあるからです。
八 すれ違い用前照灯は、車幅灯、尾灯、前部上側端灯、後部上側端灯、番号灯及び側 方灯が消灯している場合に点灯できない構造であること。ただし、道路交通法第 52 条第1項の規定により前照灯を点灯しなければならない場合以外の場合において、専 ら手動によりすれ違い用前照灯を短い間
ロービームの点灯は、テールランプや車幅灯、ナンバー灯と連動して点灯する構造でなければならないとしています。道路交通法52条第1項に日没から日の出まではライトを点灯する規定がありますが、これ以外の場合でドライバーがパッシングで点灯させるときは問題ないとしています。
パッシングは、ハイビームだけ点灯すると思っている人もいますが、4灯式ヘッドライトでは、ロービームも同時にパッシングで点灯します。
九 すれ違い用前照灯は、点滅するものでないこと。ただし、前号ただし書きの場合に あっては、この限りでない。
ロービームが点滅してはならないと規定されています。ただし、パッシングは除外されています。
十 すれ違い用前照灯の直射光又は反射光は、当該すれ違い用前照灯を備える自動車及 び他の自動車の運転操作を妨げるものでないこと。
ロービームから照射される光が、他のクルマのドライバーに迷惑となってはならないとあります。これは、6項と共通する部分でもありますが、ここではロービーム内のリフレクターからの反射や、光源となるハロゲンバルブやLEDバルブの直射光にも触れられています。
いずれにしても、周りに迷惑となる光をだすロービームは装着不可ということです。
十一 すれ違い用前照灯は、その取付部に緩み、がた等がある等その照射光線の方向が 振動、衝撃等により容易にくるうおそれのないものであること。
ロービームの取り付けにガタや緩みがあると、光軸が安易に狂う恐れがあるので、取り付けはしっかり行う事とあります。今のクルマは、ヘッドライトユニット内にロービームとハイビームが備えられていますが、このヘッドライトユニットは樹脂でできているので、クルマを少しぶつけてもすぐに取り付けステーが折れる可能性があります。
そのため、ヘッドライトの周辺をぶつけてしまった場合も、ライトステーが折れている可能性があるため、注意しなければならないでしょう。
十二 二輪自動車及び側車付二輪自動車に備える走行用前照灯及びすれ違い用前照灯 は、原動機が作動している場合に常にいずれかが点灯している構造であること。
ここでは、バイクのヘッドライトは、エンジンが始動していたらライトが点灯していなければならないとあります。その場合、ハイビームでもロービームでもいずれか一方が点灯していれば問題ないとあります。
十三 すれ違い用前照灯は、第6項に掲げる性能を損なわないように取り付けられてい ること。この場合において、灯器のレンズ面等に光軸を変化させるものを貼付するなどしており、かつ、これにより配光等に著しい影響を与えているものは、この基準に 適合しないものとする。
ここでは6項に書かれている性能を損なわない取り付け方法であることが記載されているほか、レンズにステッカーなどを貼り配光特性を変化させた場合は光軸が狂うため、保安基準に適合しないとあります。
十四 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有す る軽自動車、大型特殊自動車並びに小型特殊自動車を除く。)に備える走行用前照灯 及びすれ違い用前照灯は、当該自動車の速度が 10km/h を超える場合に夜間において 常にいずれかが点灯している構造であること。
クルマが走行する時に、10km/hを超えるスピードで走行するなら、ハイビームもしくはロービームのいずれかが点灯しなければならないとあります。これは、夜間走行中に渋滞などでヘッドライトを消灯して車幅灯もしくはフォグランプのみでの走行は道路交通法だけでなく保安基準にも抵触するという事です。
内藤
島田
内藤
198条7項は、ロービームの取り付け方の法令が記載されています。これは純正のヘッドライトユニットであれば問題ないはずですが、故障や事故などでヘッドライトを取り外すなどした場合は、注意しなければなりません。
特に、ステー部分に加工を加えると法令違反になる可能性もあるので、ヘッドライトユニットの取扱には十分注意しましょう。