こんにちは。
ガラスコーティング剤の独自ブランド(ゼウスクリア)を展開する日本ライティングの内藤です。
車体をいくらガラスコーティングで艶々にしても未塗装樹脂部分が変色していたら高級感でないな。いや、逆に車が古臭く見えてしまうと、感じることがあります。
これは僕だけが感じることではなく、皆さんも樹脂部分の白化(白ボケ)で悩んでいるかたも多く、元通りにしようと試みた人もいらっしゃるはずです。
巷では色々な方法の白化対策がありますが、復活してもすぐに白く戻ることも珍しくありません。
オーナー様の悩みの種でもある未塗装部分の白化について原因から対処法、そして最新の未塗装樹脂のコーティングについてお伝えします。
今回もカスタムから鈑金、コーティングの数々をお客様にしてきた自動車業界に30年以上携わる小泉さんに解説していただきました。小泉さんについてはこちらを御覧ください。
目次
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
かつてのバンパーには、スチールにメッキをかけたものを使用していました。
しかし、スチールバンパーは、小さな事故でもウィンカーやヘッドライトまで損傷させるなど、その後の走行に支障が出るなど問題があり、アメリカでは5マイルバンパーの装着を義務付けます。
このことを受けた日本の自動車メーカーは、アメリカに輸出されるクルマには5マイルバンパーを取り付けました。しかし、国内では同じ車種でも5マイルバンパーを採用するとデザインが悪くなることから採用されていません。
しかし例外があります。国産車でもZ31型日産フェアレディZの3リッターターボにはダンパーが入った5マイルバンパーが装着されていました。これはデザインでも成功した一つの例ともいえるでしょう。
※NISSANのカタログ
この5マイルバンパーは、約8km/h以下の衝突時に衝撃をバンパーだけで吸収できましたが、武骨なデザインでカッコが悪い代物でした。しかしこの5マイルバンパーからバンパーは大きく進化をし始めます。
鉄製バンパーから樹脂製になったのは1980年初期でした。当時は発泡ウレタン製でしたが、コストが高く、しかも重量増というデメリットがあることから、さらに軽い樹脂としてPP製(ポリプロピレン)のバンパーが登場します。
PP製のバンパーは、現在のクルマのバンパーの主流ですが、登場した当時は、通称ハチロクの名で親しまれたAE86のレビンやトレノに使用されて、クルマの軽さに貢献していました。
装着が始まった当初は、黒い素地(未塗装)のバンパーでした。それは塗装の密着性が悪く、密着をよくする専用のプライマーを使用する必要がありますが、高価でコスト増につながるため、安価なクルマは未塗装のままでした。
そのような背景から廉価グレードなどでは、PP素材の表面にシボ模様をつけて質感を失わないよう工夫をして採用されてきました。
これが未塗装樹脂の本来の使用方法でした。
しかし近年ではSUVブームになり、武骨なエクステリアデザインを表現するため未塗装樹脂が使用されています。
代表車種にはマツダCX-5やスバルアウトバック、そしてスズキジムニーやダイハツタフトのフェンダーアーチに未塗装樹脂が採用されています。
内藤
軽トラマニア小泉
黒やグレーの未塗装樹脂パーツは、時間がたつと白化と呼ばれる白くなる現象が発生します。これは素材が太陽による紫外線や熱に弱いことが大きな原因です。
長く青空駐車していると、次第に紫外線と熱の影響を受けて、PP素材の分子結合が破壊されます。これにより目に見えない小さなクラックが生じます。そこに光が当たるとクラック内に光が入り込み反射します。これが白化の原因です。
内藤
軽トラマニア小泉
そして白化した反対側は色が濃くなっているんだけど、これは白化したほうとは逆に密度が増しているんだ。
これと同じように、紫外線などで劣化すると、分子結合が破壊されて密度が減っているんだね。
参考資料:minsaku
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
白化した未塗装樹脂を元に戻す方法は昔から行われてきました。それはどれもシンプルな方法なので、女性でも簡単にできます。
白化した樹脂は、光沢も失い古びたプラスチックと化しています。そこで、昔からシリコ―ンオイルを塗布して新品のような色合いと艶に復活させる方法が使われてきました。
■車の大辞典cacacaさんでの検証動画
このほか、プラスチックの艶出し剤として有名なアーマーオールが使われてきました。
このアーマーオールの主成分はシリコーンオイルと界面活性剤、そして乳化剤なので、白化から復活させながらクリーニングもできる代物なので、昔からクルマ好きには愛用されてきました。
■メカニックTVさんでの検証動画
また、白化した未塗装樹脂は、白化した表面を削り落とすと元の黒い色が復活するので、昔はコンパウンドで磨く方法をとられました。
しかし、コンパウンドのカスがシボ模様に入り込みかなり作業が大変なことから、一部のマニアのみの方法でした。
その後、メラミンスポンジが一般に販売されると、それで表面を削り復活させる方法がでてきます。
メラミンスポンジは、非常に薄く表面を削り取るので未塗装部分に大きなダメージを与えることはありません。また、コンパウンドのようにカスがシボ模様に詰まることもなく作業性が良いことからかなりこの方法は広がりました。
■スグレモン自動車用品さんでの検証動画
しかし、メラミンスポンジは表面を削っていることには変わりがないので、同じ場所を繰り返し強く磨くと、シボ模様が削られてなくなる恐れがあります。このほか、シボ模様のでこぼこの低い部分は削れないので意外に白化から元に戻りません。
このほか、難易度は高くなりますが、樹脂の性質を利用して熱により白化を取り去り元のように復活させる方法があります。PP素材は、熱可塑性樹脂なので熱を加えて成型しています。
そこで、もう一度耐熱温度の140度を超える温度をかければ、樹脂は軟化して元の樹脂に戻ろうとします。
しかし、融点である180度を超えるとシボ模様がなくなりツルツルの表面になることから、温めるには技術と経験が求められます。ただ、シボ模様がない樹脂でツルツルでも問題なければ温めて白化を改善する方法は使えます。
また温める方法は、ごく小さく浅い傷なら元に戻せることや、PPバンパーなら凹みも元に戻るので、修理工場では当たり前のようにとられる方法です。
そしてこの事実を知った一部のカーマニアの中には、自分でチャレンジすることもあります。
ただし温める場合、ガスバーナーや工業用ドライヤーを使う必要があり、使い方を間違えると、取り返しがつかない失敗につながるので一般にはお勧めできません。
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
これと同じことが樹脂パーツでもできるということだよね。
内藤
軽トラマニア小泉
最近は、劣化した樹脂を復活させる便利なケミカルも多数販売されています。それは未塗装樹脂復活剤という名前で、かなり優秀な商品が多くなりました。
これらの復活剤の凄いところは、白化した樹脂を黒くするだけでなく、効果が長く持続することです。
その中でも自然な樹脂の風合いを損なわず、3年間効果が持続する「樹脂艶コート」という商品を私どもは販売しています。
樹脂艶コートのキットには、樹脂艶コーティング、専用脱脂剤、そしてメンテナンス用コーティング剤のほか、塗布用スポンジとマイクファイバークロスが入っているので、洗車したらすぐに施工できます。
実際に施工したときの様子をまとめていますので、合わせてご確認ください。
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
クルマの塗装面には、ガラスコーティングが長期間の艶と撥水性、そして洗車のしやすさを可能にしました。
そして現在、樹脂部分にも同じように長期間白化を抑え、しかも自然な風合いを保ち続けることが可能なコーティング剤があります。
コーティング剤を使用するには、事前に汚れを落とすことと脱脂が重要です。この作業をしたうえで、コーティングを施工してあげれば長い間白化を抑え、黒々とした艶が保てます。
未塗装樹脂は、必ず劣化して白化しますから、それを抑える方法として塗装があります。しかし未塗装樹脂にはPP樹脂が使用されているため、そのままでは塗装や接着剤が使えません。塗装するには、別途専用のプライマーが必要です。
また塗装する場合、部品を外して単体で塗装するか、クルマに装着したままならマスキングが必要です。
塗装後の質感は、塗料により異なるほか、塗装する技術によっても艶などが変わります。そのため、誰でも簡単にきれいに塗装して保護できるとは限りません。
内藤
軽トラマニア小泉
日本ライティングの製品なら、キットで必要なものがすべて入っているし、誰でも簡単に施工できるからね、おすすめだよ。
内藤
軽トラマニア小泉
A:樹脂パーツにオイルを主成分とする復活剤を使用するとオイルが小さなクラックに入り光の屈曲率を平均化させて黒く戻します。しかし、雨などに当たるとオイルが流れ元のように白化します。
具体的にはこちらで解説しています。
A:保管状況や使用方法により環境が異なるので、一概にいつから白化が始まるとは断言できませんが、クルマに装着されて紫外線を浴びた時点で劣化は始まっています。
そして、大体4年から5年たてば白化は始まり、早ければ新車から最初の3年目の車検時には白化している場合もあります。
具体的にはこちらで解説しています。
A:樹脂パーツには専用のコーティング剤が販売されているので、白化を抑えたいならコーティングは有効です。
コーティングは、昔からある樹脂用の艶出し剤もコーティングですし、最近では長期間持続するコーティング剤もあるので、自分に合ったコーティング剤を選び施工すればよいでしょう。
A:塗装を樹脂パーツにするメリットは、白化しなくなることです。しかし、樹脂は塗装が密着しないので下地処理が重要です。このほか、塗装すると樹脂の風合いがなくなるのが一般的です。
もし樹脂の風合いを残したければ、それなりの塗装技術が必要なので、一般には塗装は仕上がりに納得できないので、塗装はデメリットが多いといえます。
A:もちろん塗装も可能です。しかし、一般の方では難易度が高いと感じますので、自然な風合いにする場合はコーティング剤がおすすめです。
詳細はこちらで解説しています。
未塗装樹脂は、そのままでは必ず白化します。これはプラスチックの宿命なので何らかの手を加えなければ抑えられません。
昔から様々な方法で白化した未塗装樹脂を復活させる方法が行われてきましたが、白化は光の屈曲率の変化で起きることがわかれば、それを埋める油分やコーティングが有効なことがわかります。
現在は、樹脂に長く留まるコーティング剤も販売されているので、そのようなコーティング剤を使用すれば、いつまでも長くきれいな未塗装樹脂を保てるでしょう。
実際に施工したときの様子をまとめていますので、合わせてご確認ください。